2023年に「とらのこぱん」を作るパン職人としてブログで紹介した南牧出身の岩崎香里(いわさきかおり)さん。現在は陶芸作家として村内の桧沢(ひさわ)地区に工房を構え、香(かおり)というアーティスト名で活動しています。そんな岩崎さんの工房を訪問し、今のお仕事を中心に話を聞きました。

陶芸体験の仕事をしながら、工房で陶芸作品を制作
―まず、今のお仕事について教えてください。
岩崎 基本的には自分の制作と、昨年春に桧沢に開業した民泊宿「Mattyの古民家」で陶芸体験の仕事をしています。あと、4月からは学童クラブ「さくらんぼ」で、学童の子どもたちを対象に陶芸体験を毎月行っています。
―陶芸体験では、具体的にどのようなことを教えていますか?
岩崎 民泊宿では、お客様が陶芸体験を希望される時に出向き、1回につき9時から12時までの3時間、粘土で形を作る体験をしてもらいます。その後は工房に持ち帰り、焼きあがったら包装して送っています。学童保育では、子どもたちが粘土で作品を作り、焼いて色を付けるまでの一連の工程を段階的に体験してもらっています。時間をかけて、少しずつ作品を仕上げていくイメージですね。
―陶芸体験の仕事は、どれくらいの頻度で行っていますか?
岩崎 お客様のご要望次第なので決まっていませんが、忙しい時は週に2、3回入ります。ただお客様が陶芸品の形を作った後も、乾燥させて焼き上げ、発送するまでの一連の仕事がありますので、お手元にお届けするまでに3か月くらいはかかります。お客様に教えたり一緒に過ごす時間は好きですが、お客様が作った作品をお預かりしますので、何かと気を遣いますね。
ーご自身の作品制作についてはいかがですか?
岩崎 これまでは体験の仕事が忙しく手が回りませんでしたが、今は少し落ち着いてるので、自分の創作にも力を入れています。ただ陶芸の場合、形を作るのに1日、削るのに1日かかります。ある程度の時間を確保できない時は、陶芸だけでなくアクセサリー類を作ることも多いですね。
―これまで作った作品数は、どれくらいですか?
岩崎 特に数えてはいませんが、イベントに出店するときは、いつも100点くらいの作品を用意しています。
ー作った作品は、主にどちらで販売されていますか?
岩崎 村内の「ちょっとしたカフェ」や民泊宿に置かせていただいています。あと、ビーズを使ったブレスレットは「道の駅オアシスなんもく」でも販売しています。それ以外に、道の駅で定期的に開催されるマルシェや、南牧の近隣で不定期に開催されるイベントにも出店しています。最近では、8月のお盆に元農協の建物で開催されたイベント「垰(たお)」に出店しました。以前には東京に行って販売したこともあります。
ー陶芸作品を道の駅で販売する予定はありますか?
岩崎 今のところはありませんが、道の駅で陶芸品を販売するなら、南牧の素材にこだわった作品を出したいと思っています。土はもちろん、椚石や釉薬など南牧の素材を使った陶芸品を作りたいんです。




陶芸も含めた”ものづくり作家”でありたい
ーところで、岩崎さんが陶芸を始めたきっかけは何ですか?
岩崎 私は高校卒業後に前橋の調理専門学校に進みましたが、そこでは調理だけでなく、自分で作ったものを加工して販売するまでの6次産業の工程を学びました。学校を卒業して2019年に南牧に戻り、自分に合ったものづくりを模索する中で出会ったのが陶芸だったんです。まずは下仁田の陶芸教室に通い、器作りを勉強しました。
ー今の工房を構えたのは、いつ頃ですか?
岩崎 3年前ですね。実家の近くに空いている古民家を見つけて借りました。工房を借りてからは、本格的に陶芸やものづくりが出来ています。
ー今のお仕事のご感想をお聞かせください。
岩崎 もともと自分が生まれ育った南牧村で何かをしたいという思いが強かったので、今の仕事は、自分にすごく合っていると感じています。ただ陶芸作家という意識はなく、もっとさまざまなものを作っていきたいです。陶芸も含めた「ものづくり作家」でありたいですね。
ーものづくり作家として、どのようなジャンルの作品を作っていきたいですか?
岩崎 生活の中の芸術というか、生活に根ざしたものづくりをしたいと思っています。陶芸品の器も食事を楽しむものとして必要ですし、最近は竹でお箸を作ったりもしています。もちろん、陶芸やアクセサリー作りは引き続き作っていく予定です。
ー最近、アーティスト名を「香」に変更しましたね。
岩崎 それまではローマ字で「kaori」という名前で活動していましたが、南牧は私にとっての里なので、本名の「香里」から里を分けて「香」としました。ここで活動してこそ私であるという意味を込めています。
ー最後に、今後の抱負をお聞かせください。
岩崎 古民具や小道具を活かしたデザインがしたいです。その素材となる古い物品を色々と集めていて、インスタのプロフィールにも「小道具デザイナー」という肩書を書いています。あとは収入もまだ不安定なので、イベントへの出店も増やしたいと思っています。今後は群馬だけでなく、他県で開催されるイベントにも出店したいですね。



取材を終えて
今回の取材で訪問した岩崎さんの工房には、自ら集めた古い道具や家具、民具などが多く置かれていて、物への愛着の強さが感じられました。取材のなかでは、自分が生まれ育った南牧村で、ものづくりの仕事を続けたいという郷土愛が伝わってきました。これからも制作活動の幅を広げて、南牧村のアーティストとして活躍してほしいと思います。(以上)









