本格的な営業が始まった「南牧村自然公園キャンプ場」を見学

今年の7月8日に営業を再開した「南牧村自然公園キャンプ場」。当初はテントサイトのみの暫定営業でしたが、9月16日よりコテージやバンガロー、オートキャンプ場も宿泊可能になり、本格的な営業が始まりました(ただし大浴場は開業準備中)。

そこで、自然公園の見学を兼ねて、運営会社の(株)サンエイト企画代表、古川拓さんに、営業再開までの苦労と今の思い、今後の予定などを聞いてきました。

自然公園に至る道

「南牧村自然公園キャンプ場(以下「自然公園」)は南牧村の西端に位置し、長野県との県境に近い山腹に広がる施設です。周囲を森に囲まれた標高約1000メートルのロケーションにあり、人里から遠く離れた大自然の中でキャンプや宿泊ができるのが特長。晴れた日には、木々の間から西上州の山岳展望を楽しめます。

晴れた日には西上州の山々を展望できる

自然公園へ車で向かうには、上信越自動車道の下仁田ICを降り、南牧村を貫く県道を南牧川沿いに西へ西へとさかのぼり、山道を登って到着します。下仁田ICからの所要時間は約50分。アクセスは不便ですが、深い山々に分け入っていく魅力が味わえます。アクセスの詳細はこちら→アクセス – なんもく村自然公園

所々に現れるこの看板を目印に、奥へ奥へと進む

公園に近づくと、こんな看板が出現

以前は長野県からも県境の大上峠を越えてアクセスできましたが、2019年の台風19号で南牧村と長野県佐久穂町を結ぶ林道大上線が不通になり、今は群馬県側からしかアクセスできません。復旧工事は今も続いていますが、開通までだいぶ時間がかかりそうです。

道の行き止まりが自然公園の入口(左を登る)

山道をくねくねと登っていくと、展望が開けたあたりでバリケードに阻まれ行き止まりになりますが、ここが自然公園の入口。道から少し登ると、受付をする管理棟の白い建物が見えてきます。

白い建物が管理棟
駐車場は管理棟の横。すぐ下には大きめのテントサイト

自然公園の中を見学

テントサイトは全10区画以上あり、テントサイトとは別に屋根付きのバーベキュー場が2箇所あります。

テントサイト。混雑時でなければ一区画空けて貸している

屋根付きバーベキュー場。泊まらなくても利用可能

9/16からは、10人用コテージ4棟、5人用バンガロー2棟、オートキャンプ場の営業が始まりました。コテージは、トイレ、シャワー室、簡易キッチン、寝具付き。バンガローは、トイレと寝具付きです。バルコニーからは、晴れていれば山岳展望が楽しめます。夜は曇りがちですが、夜半には雲が消えて星空が見える日も多いとか。人里から遠く離れているので、スターウォッチングも楽しめそうです。

営業を再開したコテージ
コテージの室内

バンガローの外観

バンガローの室内。内装はリフォーム済
バルコニーからは西上州の山々が一望
管理棟の自動販売機では飲み物を購入可能

運営会社の代表にインタビュー

自然公園の中を一通り見学させてもらった後、運営している株式会社サンエイト企画の代表、古川拓さんにインタビューしました。

古川拓さん。管理棟の玄関前にて

古川さんは、林業に関わる事業を行っている株式会社サンエイト企画の代表者。今年6月に自然公園の指定管理業者となり、営業再開に向けて急ピッチで準備を進めてきました。設備のあちこちが傷んでいたり水漏れが発生していたりと、修繕作業は大変だったようです。
もともと南牧村で木と関わる仕事を生み出し、広げたいと考えていた古川さん。昨年冬に「とらのこぱん」作りを始めたのも、パンを薪で焼いていたため。薪や炭を燃やして森の中で過ごすキャンプ場の管理は、木との関わりを広げるのに適した仕事だったそうです。
「今はキャンプブームですが、樹木の成長サイクルを考慮しないまま薪や炭が燃やされている現状を見て、何かもったいないと感じていました。林業をする身としては森林保全の大切さを多くの人に知ってほしいんですが、急には難しいので、まず木を身近に感じてもらう土台作りから始めたいと思っていた時に、自然公園の指定管理のお話をいただいたんです。開業まで準備作業は大変でしたが、7月8日にテントサイトのみで営業を始めてからは、夏休みシーズンを迎えたこともあって、多くのキャンパーにご来場いただきました。土日に限らず、平日に泊まりに来る方もそこそこいましたね」
開業を待ち望んでいた方も多くいて、来るのが恒例行事になっている富岡市の保育園も来場、20数名の大人と子供が久しぶりにテント泊を楽しんだそうだ。来場者からは「こんなに空いているキャンプ場は今どきない」とか「解放感がある」といった声が聞かれ、おおむね好評のようです。
現在、キャンプ場の管理は、古川さんも含め数名が持ち回りで担当しています。キャンプ慣れしている方が多く、焚き火などのマナーを細かく指示しなくても大体わかってくれるそうです。
ただし、営業は開始したものの、収益化はこれから。大浴場の開業、コテージやバンガローの増加など課題も多いなか、今後の予定を古川さんに尋ねると、教育という答えが返ってきました。
「森林と関わるきっかけを増やすという会社の基本方針は変わっていませんので、ゆくゆくは教育事業を手掛けたいですね。例えば、木を使って仕事をしている会社向けに森林見学ツアーを行ったり、子供を集めて木の教育をしたり、木の苗を植える体験をするなどして、木を育てることを身をもって体験してほしいと思っています。そのベースとして自然公園を活用したいですね」
単に泊まるだけでなく、樹木や自然に関する体験ができれば、ここに来る動機づけにもなると思いました。今後の自然公園がどのように変化していくのか、楽しみです。

木と触れ合う上で自然公園は絶好の環境

訪問を終えて

営業再開して以来、行こうと思いつつなかなか行けなかった自然公園を、開業から2ヶ月経った今回、ようやく訪問できました。久々に来てみると、集落から遠く離れた奥深い山の中というだけあって、世間との隔絶感や、大自然に包まれている感は抜群。ロケーションの良さを改めて感じました。
なお、ホームページには「海から1番遠いキャンプ場」との記載がありますが、これは、すぐ近くの長野県側の山中に「海から1番遠い地点」があるため。多少まわり道になりますが、海から一番遠いキャンプ場に泊まって海から1番遠い地点を訪ねてみるのも面白いと思いました。(実際に行くのは大変そうですが…)

<関連リンク>

「南牧村自然公園キャンプ場」の概要、予約、料金などは、「南牧村自然公園キャンプ場」のホームページをご覧ください。(以上)