「農家民宿ひなた」を訪問

毎月通っているヨガ教室でよくご一緒する方がご夫婦で農家民宿を営んでいると聞き、見学に行ってきました。

看板の左奥が「農家民宿ひなた」。養蚕農家特有の「越し屋根」が特徴的。


今回見学した「農家民宿ひなた」は、富岡市でも下仁田に近い中沢地区にあり、最寄り駅の上信電鉄南蛇井駅からは、徒歩で15分くらい。私は車で現地に向かいましたが、駅周辺の住宅街を抜けて左折し、水田の中の小道をしばらく進むと、民宿の看板が見えてきました。

地区100年以上の養蚕農家を改修した民宿

民宿の家屋は、築100年以上の養蚕農家。通気口の役目を果たした「越し屋根」も付いている立派な建物です。かつては養蚕が盛んだったこの地区も、今は家の改修が進み、当時の面影を残しているのは、ここを含めて2軒のみ。民宿周辺には、当時の養蚕の様子がわかる施設が残されていました。

蚕の卵を孵化させていた施設の一室
桑を保管していた倉庫

民宿を経営しているのは浦野夫妻(浦野公男さんと、奥様の良子さん)で、民宿は公男さんのご実家。傷んでいた柱を取り替えて修理したのを機に、広い家を活用したくて2018年に民宿を開業したそうです。2020年3月には、TV番組「人生の楽園」でも取り上げられました。

民宿を経営する浦野公男さんと、奥様の良子さん

この民宿の特徴は、農業体験が出来ること。しかしコロナ禍の影響により、現時点では継続性のある体験に絞っています。継続性とは、種まきから収穫して食べるまでの一連の工程を体験して、食への理解を深めること。昨年は米作り体験と、小麦からラーメンを作る体験の2種類を行い、種をまいてから食べて味わうところまでをグループのお客様が体験されたそうです。

体験メニューは、始める前にお客様と話し合って決めています。昨年秋には、ビール麦の栽培体験を始めました。ビール麦を育てて今年5月に収穫し、市内のビール工房で醸造してもらう予定とか。これには約30名が集まったそうです。

また、今年からは地域ぐるみで観光客を受け入れる体制を整えました。中沢地区の広域名称を付けた組織「ふるさと吉田」を立ち上げ、野菜栽培などの体験を提供しています。

民宿前に広がる水田。このなかの一枚が体験用として使われている。

こうした農業体験のほか、民宿では一般の観光客も受け入れています。ただし部屋は一室、一家族限定。そのため、南蛇井駅近くの一戸建てを利用した素泊まりの「ゲストハウスなんじゃい」も運営しています。詳細は、以下ホームページをご参照ください。

「農家民宿ひなた」のホームページ

民宿の室内

訪問を終えて

一般的な農業体験は収穫までですが、ここでは食べて味わうまでの体験にこだわっているのが印象的でした。お二人の話からは郷土愛が伝わってきて、里山景観が残る中沢地区を地域ぐるみで盛り上げ、残していきたい思いを感じました。この2年間はコロナ禍で民宿経営も大きな影響を受けたそうですが、今後はコロナ前に実施してきた個別体験メニューも少しずつ復活させ、イベントも開催していきたいそうです。ビール麦は、地元の醸造所「上州富岡プリュワリー」でビールとして販売されるそうなので、私もぜひ味わってみたいと思います。(以上)

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